2025年4月22日公開
最終更新日:2025年4月22日
SaaS営業の年収のすべて┃平均年収、国内と外資の違い、年収を高めるポイントまで
SaaS営業とは、クラウド型のソフトウェアサービスを提案・販売し、契約後も継続的に顧客と関わりながら価値を提供していく営業職のことです。サブスクリプション型のビジネスモデルが広がる中、SaaS営業は今後さらに需要が高まると考えられており、高年収を目指せる職種としても注目されています。
とはいえ、「SaaS営業の平均年収は実際どのくらいなのか?」「国内企業と外資系では年収に差があるのか?」「年収を上げるにはどうすればいいのか?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事の目次としては、SaaS営業職の平均年収や年収レンジをはじめ、国内企業と外資系企業との報酬体系の違い、そして年収を高めるためのスキルやキャリア戦略などの情報を詳しく解説します。
この記事を通じて、SaaS営業としてのキャリア形成や年収アップのヒントを得て、次の一歩を踏み出すきっかけにしていただければ幸いです。
SaaS営業とは
SaaS営業とは、クラウド上で提供されるソフトウェア(Software as a Service)の導入を、顧客企業に提案・販売する営業職のことを指します。
従来のパッケージソフトとは異なり、SaaSは買い切り型ではなく、月額や年額のサブスクリプション契約で継続的に利用されるのが一般的です。この継続性こそが、SaaS営業の最大の特徴といえるでしょう。
たとえば、会計クラウドソフトを扱う営業担当者を想定してみてください。
この営業職の目的は、単にソフトウェアを売ることではありません。企業の会計業務における課題や非効率なプロセスを丁寧にヒアリングし、その解決策としてツールの活用法を提案します。さらに、導入後の運用支援や活用促進まで視野に入れた包括的なサポートが求められます。
つまり、SaaS営業は製品を一度売って終わるのではなく、顧客に継続的な価値を提供し続ける役割を担っています。そのため、契約後のフォロー、アップセル(上位プランの提案)、クロスセル(関連サービスの紹介)といった活動も営業プロセスの一環として組み込まれています。
このように、SaaS営業は従来の営業職とは本質的に異なり、戦略的思考力、深い顧客理解、そして一定のITリテラシーを融合させて価値を生み出す、高度な専門職です。今後もSaaS市場の拡大が見込まれる中で、この分野に強みを持つ営業人材の重要性は一層高まっていくでしょう。
SaaS営業と一般営業の違い
SaaS営業は、一般的な営業職とは目的やプロセスにおいて本質的に異なる構造を持ちます。最大の違いは、「販売をゴールとせず、スタートと捉える」点にあります。
たとえば、製造業や商社における一般的な営業職では、顧客に商品やサービスを提案し、受注・納品・請求が完了すれば営業としての役割は一区切りとなります。以降の対応はアフターサービス部門やカスタマーサポートが担うことが多く、営業の主眼はいかに売るかに置かれます。
一方で、SaaS営業にとって重要なのは、契約後に始まる本質的な価値提供です。
SaaSはサブスクリプション型のビジネスモデルであるため、契約が継続されて初めて収益が安定します。したがって、いかに解約されずに使い続けてもらうかが、売上の維持・成長を左右する要因となるわけです。契約後の顧客満足度、活用状況、アップセル・クロスセルの実現などが主要なKPIとされ、営業活動は顧客との長期的な関係を前提に設計されています。
SaaS営業のもう一つの特徴は、業務プロセスの高度な分業体制です。
見込み顧客の発掘を担う「インサイドセールス」、商談やクロージングを行う「フィールドセールス」、契約後の支援を行う「カスタマーサクセス」など、各フェーズに特化した専門人材が連携し、顧客との接点を最適化していきます。こうした体制により、各担当は自身の領域に専念し、高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。
さらに、SaaS営業では定量評価とデータに基づく意思決定が重視される点も、従来型営業との大きな違いです。売上に加え、商談化率や契約継続率、顧客の利用状況、製品の定着度といった詳細な指標がリアルタイムで可視化され、施策の改善や方針転換に活用されます。
このように、SaaS営業は顧客のビジネス成果に貢献することを目的とした営業であるといえます。
SaaS企業における営業の年収体系
SaaS営業職の大きな魅力のひとつは、成果に応じた報酬体系が確立されている点にあります。ただし、年収はインセンティブだけで決まるわけではなく、基本給や職位、会社規模、外資系か国内企業かといった複数の要因が絡み合って構成されています。
ここでは、SaaS営業職の年収構造を基本給とインセンティブの2つの視点から整理し、実態に即した仕組みを解説していきます。
基本給
SaaS営業の基本給は、業務内容や職位、企業の規模、さらには国内企業か外資系かといった属性によって大きく異なります。たとえば、インサイドセールスのメンバークラスでは年収300万〜500万円程度が一般的ですが、リーダークラスであれば600万円前後、マネージャークラスになると700万円以上も期待できます。
フィールドセールスや営業マネジメント職においては、報酬の幅がさらに広がります。中堅クラスで500万〜800万円、マネージャーでは1,000万円を超える水準も現実的です。特に大手法人を対象とするエンタープライズ営業では、高度な提案力や交渉力が求められるため、基本給も高水準となる傾向があります。
また、企業のステージによっても年収設計に違いがあります。上場済みの大手SaaS企業では報酬制度が整備されており、経験やスキルに応じたグレード制を導入しているケースが多く、安定的な給与が見込めます。
一方、シリーズA〜Cの成長フェーズにあるスタートアップでは、基本給よりもストックオプションや成果連動型のボーナスを重視する傾向が強く、短期的な収入よりも中長期のリターンを見据えた設計がなされることも少なくありません。
他に注目すべきポイントは、国内企業と外資系企業の報酬設計の違いです。国内企業では固定給が重視される一方、外資系SaaS企業では「成果=報酬」の構造が明確に定義されており、基本給は抑えめでも、インセンティブによって年収を大きく伸ばせる仕組みが採用されていることが多くあります。
このような環境では、成果を出すことで高収入を実現できる明確なロジックが存在するため、成果主義に適応できる人材にとっては、やりがいとモチベーションを保ちやすい職場といえるでしょう。
インセンティブ
SaaS営業においてインセンティブ(成果報酬)は、年収構造の中でも極めて重要な位置を占めています。企業によっては、年収の半数以上をインセンティブが占めるケースもあり、基本給と同等かそれ以上の収入が成果に応じて支払われる仕組みとなっています。
一般的なSaaS営業では、売上達成率に応じたインセンティブ設計が導入されており、KPIとして「新規契約数」「MRR(月間経常収益)」「ARR(年間経常収益)」などが活用されています。
たとえば、月間のMRR目標が100万円に設定されている場合、達成で10万円、120%達成で15万円といったスライド式の報酬設計が典型的です。
近年では、契約件数に加えて、SaaS特有の評価指標、たとえば解約率、NRR(Net Revenue Retention:売上継続率)、アップセル・クロスセル率などもインセンティブ評価に組み込まれています。
これは契約獲得だけでなく、顧客との関係をいかに長期にわたって維持できるかという視点が、SaaSビジネスにおいて本質的に重視されているためです。
外資系SaaS企業では、このインセンティブ設計がさらに明確かつ成果志向であることが多く、「目標100%達成で年収1,000万円、120%超で1,500万円」といった分かりやすいモデルが採用されていることもあります。
また、「On Target Earnings(OTE)」という制度を導入する企業もあり、これは目標をすべて達成した際の想定年収をあらかじめ提示する仕組みです。これにより、候補者や社員は自分の成果がどれだけ収入に反映されるかを事前に把握し、目標達成への意識を高められます。
一方、国内のSaaS企業では、個人のインセンティブよりもチーム目標やプロセス評価を重視する文化も根強く見られます。営業プロセスの改善提案や顧客満足度向上といった定性的な貢献にも報酬が設定され、チームワークや協調性を評価する姿勢が併存しているのです。
このように、SaaS営業におけるインセンティブ制度は、売上に対する報奨ではなく、顧客との関係性や事業成長を促す戦略的な仕掛けとなっています。目標達成と報酬の相関が明確なぶん、自律的に行動できる人材やデータをもとに仮説・検証を繰り返せる営業パーソンほど、高収入を実現しやすい環境だといえるでしょう。
SaaS営業の平均年収は350万円~800万円
SaaS営業職の年収は、担当領域や企業の成長フェーズ、個人のスキルや経験に応じて幅広く分布しており、一般的には年収350万円から800万円の範囲に収まるケースが多く見られます。これは従来型の営業職と比較しても、やや高めの年収水準といえるでしょう。
たとえば、転職サービス「doda」が2021年に公表したデータによれば、営業職全体の平均年収は約435万円とされており、SaaS業界に特化した営業職では400万円〜600万円程度が目安とされています。
ただし、このデータは業種・職種を横断した平均であり、スタートアップ企業での初任ポジションや、インサイドセールスの初級職では300万円台にとどまることもあります。
一方、エンタープライズ企業を担当するフィールドセールスや営業マネージャー職、あるいは高い成果を継続的に上げている営業担当者においては、年収800万円を超えるケースも決して珍しくありません。
特にSaaSビジネスでは、新規契約数のみならず、アップセルや顧客の継続率といったKPIも評価対象となるため、契約後も価値を提供し続けられる人材には高い報酬が与えられる傾向にあります。
職種別に見ると、年収レンジには明確な差が生じます。
インサイドセールスの初級ポジションでは年収300万〜500万円程度が一般的ですが、経験を積んでリーダー職以上になると、600万円を超える水準も現実的です。フィールドセールスの場合、提案難易度の高さや案件単価の大きさに応じて報酬も上昇し、600万円〜1,000万円といった年収レンジが標準的とされています。
上限についても注目すべき点があります。
外資系のSaaS企業や上場企業でエンタープライズ営業を担う場合、1,200万円を超える年収水準が現実に存在します。成果連動型のインセンティブ比率が高い企業では、トップセールスが基本給の2倍以上の成果報酬を得ており、年収2,000万円を超えるケースも報告されています。
つまり、SaaS営業職は成果次第で年収を大きく伸ばせるポテンシャルを持った職種です。なかでも、以下のような要素を備えた人材は高収入を実現しやすい傾向があります。
- エンタープライズ領域での営業経験がある
- 提案型/ソリューション型の営業スキルを有する
- チームマネジメントの経験がある
- アップセル/クロスセルを含む長期的な顧客関係の構築が得意
加えて、SaaS業界そのものが急速に成長を続けている市場であるため、営業人材の需要も非常に高まっています。特にBtoB領域でのSaaS営業経験者は転職市場での引き合いが強く、キャリアチェンジを通じた年収アップも実現しやすい状況です。
【職種別】SaaS営業の年収を紹介
ここでは、SaaS営業職を「職種別」に分けて、年収の目安や特徴を詳しく見ていきます。
インサイドセールス
SaaS業界におけるインサイドセールスは、非対面形式で営業活動を行う職種です。
主な役割は、見込み顧客との初期接点の創出、ニーズのヒアリング、商談機会の設定などであり、訪問営業を前提としない働き方である点が大きな特徴です。リモートワークの普及も理由となり、近年では需要が急速に拡大しています。
インサイドセールスの年収レンジは、概ね300万円〜700万円程度とされており、未経験からの転職や新卒入社の場合は、初年度350万〜450万円前後がボリュームゾーンとなっています。とくに営業経験が浅い場合や、BtoCからの転職では、比較的低い水準からスタートする傾向が見られます。
ただし、この職種は短期間でのキャリアアップが可能なポジションでもあります。
SaaS市場の成長に伴い、優秀なインサイドセールス人材は早期にリーダーやマネージャーへ昇格し、600万円超の年収を実現するケースも珍しくありません。特に以下のようなスキルや実績を持つ人材は高く評価されやすい傾向にあります。
- 見込み顧客の選別(リードクオリフィケーション)精度が高い
- MAやSFAツールの活用に長けている
- 安定した商談創出率を維持できる
- インバウンド・アウトバウンド双方の営業に対応できる
また、外資系SaaS企業では、同じインサイドセールスであってもインセンティブ制度が充実しており、年収700万円を超えるケースは珍しくありません。
一方、スタートアップや成長フェーズにある企業では、年収水準がやや抑えられることがあるものの、業務の裁量やスピード感、役割の幅広さに魅力を感じて入社する人も少なくありません。
このような環境では、成果次第で早期昇進が可能なうえ、ストックオプションの付与など中長期的なリターンを含めれば、大手企業に匹敵する報酬が得られる可能性もあります。
インサイドセールスは、営業未経験者にとっても挑戦しやすい職種でありながら、実績次第では年収600万円〜700万円を超える高収入も狙える成長ポジションです。SaaSビジネスの拡大に伴い、今後も高い需要が継続することが予想され、キャリア形成上、極めて有望な選択肢の一つといえるでしょう。
フィールドセールス
フィールドセールスは、SaaS営業職のなかでも特に高年収が期待できるポジションです。
主に中堅〜大手企業(いわゆるSMB〜エンタープライズ)を対象に、対面またはオンラインで商談を行い、SaaSプロダクトの提案から導入、契約締結までを担います。提案型・課題解決型・コンサルティング型の営業スタイルが求められ、高度な営業スキルが必要とされる点が特徴です。
年収レンジは400万円〜1,000万円超と幅広く、経験・実績・企業規模によって大きく異なります。たとえば、経験1〜3年程度の中堅人材であれば、インセンティブ込みで500万〜700万円前後が一つの目安となります。
一方、エンタープライズ企業を対象に複雑な提案を行う上位層では、年収1,000万円を超えるケースも十分に現実的です。
フィールドセールスに求められるスキルは多岐にわたります。
- 業種・業界ごとの業務課題を正確に理解する力
- 複数のステークホルダーが関わる組織において、意思決定の構造を把握し、合意形成をリードする能力
- 投資対効果(ROI)を示すための財務的ロジック展開
- 技術部門との連携を通じて、最適なソリューションを設計する力
また、扱う案件の受注単価が高いため、売上インパクトが大きく、それに応じてインセンティブ比率が高く設定される傾向も見られます。
さらに、フィールドセールスには、マーケティング部門やインサイドセールスとの連携力も求められます。リード獲得から商談創出までのプロセスを俯瞰し、営業データを分析・活用して改善に取り組むといったセールステックへの理解も、高年収層に共通する資質です。
外資系SaaS企業においては、フィールドセールスが「成果で稼げる営業職」として認知されており、成果主義が徹底されています。高額なインセンティブが設定される一方で、目標未達時には減収のリスクも伴いますが、それに見合った裁量と報酬が用意されています。
一方、国内SaaS企業では、基本給をやや高めに設定しつつ、安定したインセンティブ体系を採用する企業も多く、極端な成績に左右されずとも年収600万円台を実現しやすい環境が整っています。
このように、フィールドセールスは高単価かつ高難度の案件を扱い、実力に応じて報酬水準が大きく変動する、SaaS営業の中でも象徴的なポジションです。成果を正当に評価されたい営業パーソンにとって、最もチャレンジしがいのある職種といえるでしょう。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、SaaSビジネスにおける継続収益の中核を担うポジションです。契約後の顧客と継続的な関係を築きながら、満足度の向上やLTVの最大化に貢献します。
この職種の年収レンジは一般的に400万円〜800万円程度で、インサイドセールスと同様に未経験からのチャレンジも可能な入り口で、実績に応じて高年収が見込めるキャリアパスが整備されています。
初年度は350万〜450万円前後でのスタートが多い一方、運用支援・活用提案・アップセル支援といった領域で実績を重ね、チームリーダーや戦略設計を担うようになると、600万〜800万円超の年収も現実的な水準となります。
一見するとサポート業務のようにも見えますが、カスタマーサクセスはポストセールスにおける営業的な役割も担っています。製品の継続利用を促進しながら、アップセル・クロスセルを実現することで企業の安定収益と成長に直結するためです。
この職種は、単なる導入後支援の枠を超えて、顧客と企業の持続的な成長をつなぐ戦略的パートナーとして、SaaSビジネスにおいて不可欠な存在へと進化しています。そして、その重要性に応じた報酬設計がなされつつある点は、キャリア形成上、注目すべき変化といえるでしょう。
営業マネジメント
営業マネジメント職は、SaaS営業組織の成果を最大化する上で中心的な役割を果たします。営業メンバーの業績管理にとどまらず、戦略設計、予算配分、人材育成、部門間連携など、幅広いマネジメント業務を担いながら、組織全体の成長を推進します。
年収レンジはおおむね700万〜1,200万円以上と高く設定されており、マネージャーや部長クラスになると、企業の収益責任を負う立場として、その責務が報酬に反映される構造となっています。
たとえば、10名以上の営業チームを統括し、インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスといった複数部門を束ねるポジションでは、年収1,000万円超が一つの目安となります。また、エンタープライズ領域を所管する営業本部長クラスに至っては、年収1,500万円を超える水準に加え、ストックオプションが付与されるケースもあります。
営業マネジメントは、単なる中間管理職ではありません。経営層との接点が多く、売上計画や戦略的な意思決定にも関与することから、現場感覚と経営視点の双方を併せ持つバランス感覚が強く求められます。
このように、営業マネジメントは個人の成果ではなく、組織としての成長をどう設計・実行するかが評価の対象です。その影響力の大きさに見合う報酬水準が設定されており、SaaS業界でのキャリア構築における到達点のひとつと位置づけられます。
国内SaaSと外資系SaaS、営業年収はどっちが高い?
SaaS営業職の年収を考える際、よく話題に上がるのが「国内企業と外資系企業のどちらがより高収入を得られるのか」という点です。
結論から言えば、平均的には外資系の方が年収水準は高めですが、近年は国内SaaS企業の報酬水準も上昇しており、企業やポジションによっては外資に匹敵、あるいは上回るケースも出てきています。
外資系SaaS企業では、成果主義が徹底されており、「基本給+インセンティブ+ストックオプション」で構成される報酬体系が一般的です。とくにエンタープライズセールスや営業マネージャー職では、目標達成でOTE(On Target Earnings)1,000万円以上、場合によっては1,500万〜2,000万円に達する可能性さえあります。
ただし、このような高収入には相応の期待と負荷が伴うことを忘れてはいけません。営業目標は高水準に設定され、短期間での成果が求められる傾向が強く、高収入であると同時に高ストレスがかかることもあるでしょう。さらに、英語によるレポーティングやグローバルチームとの協業が日常的であるため、語学力や異文化コミュニケーション能力も求められます。
一方で、国内SaaS企業はかつて年功序列や固定給中心の安定型報酬が主流でしたが、近年は評価制度の刷新が進み、実力や成果を反映する制度へと移行する企業が増えています。
国内企業の強みは、働きやすさと中長期視点でのキャリア形成にあるといえるでしょう。営業成績だけでなく、チームへの貢献度や業務プロセスの改善提案なども評価対象とする企業が多く、個人主義に偏らず、組織全体の成果を重視する文化が根付いてきています。
また、市場が成熟してきたことを背景に、外資系に対抗する形で年収水準を引き上げる国内企業も増加しています。とくに経営層に近いポジションや大型案件を扱うエンタープライズセールス職では、年収1,000万円を超える事例も珍しくなくなってきました。「外資=高年収、国内=安定」という旧来の構図は、今や徐々に変わりつつあるといえるでしょう。
結論として、年収の額面では外資系に優位性があるものの、報酬に見合う責任、働き方の柔軟性、キャリアの持続性といった観点を踏まえたうえで、自身の志向に合った選択をすることが重要です。
たとえば、短期で高収入を狙いたい場合は外資系、腰を据えてキャリアを積みたい場合は国内SaaS企業といった選び方が、一つの指針となるでしょう。
▼以下記事もご参考にしてください
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SaaS営業の年収は地域によって異なる?
SaaS営業職の年収は、勤務地や担当エリアによって差が生じることがあります。特に日本国内では、東京を中心とした首都圏と地方都市との間に、平均年収の明確な開きが存在しているのが現状です。
この地域差の背景には、商談の規模や対象となる企業の業種・業態、平均受注単価、顧客のITリテラシーといった地域特性が密接に関係しています。
たとえば、東京都内に本社を構えるSaaS企業の多くは、エンタープライズや大手中堅企業をターゲットとしており、商談規模が大きくなりやすい傾向にあります。それに伴い、売上への貢献度も高く、フィールドセールスやマネージャークラスでは年収600万円〜1,000万円超といった水準が一般的です。
一方で、地方都市では中小企業(SMB)を対象とする営業活動が中心となり、商談単価が低めに設定されるケースが多く見られます。このため、年収レンジはやや抑えられ、400万〜550万円前後がボリュームゾーンとなる傾向があります。
もっとも、こうした地域格差はリモートワークの普及によって徐々に縮小しつつあります。特にインサイドセールスやカスタマーサクセスといった非対面型業務においては、居住地にかかわらず働ける環境が整備されつつあり、報酬体系も一定の均質化が進んでいます。
また、外資系SaaS企業においては、「勤務地に関係なく、スキルや成果に応じて報酬を決定する」という文化が根づいており、東京圏外に居住しながら年収700万円〜1,000万円以上を得る人材も少なくありません。営業目標の達成率が高ければ、勤務形態や勤務地によらず正当に報酬が支払われる設計が主流です。
SaaS営業で年収を上げるために必要なスキルと経験
SaaS営業で高年収を目指すには、単に成果を上げるだけでは不十分です。継続的に結果を出し、それを再現可能なスキルとして体系化しながら、組織に対して明確な付加価値を提供できることが、年収アップの鍵となります。
まず前提として、SaaS営業は有形商材を売る従来型営業とは異なり、無形のサービスを提案型で販売する職種です。そのため、商品知識やトークスクリプトの丸暗記では通用せず、顧客の課題を深く理解し、それに合致したソリューションを構築する力が求められます。
とくに高く評価されるスキルとして、以下の要素が挙げられます。
- 課題発見力とヒアリング力:顧客の表層的な要望ではなく、根本的なビジネス課題を引き出す能力
- IT・クラウドリテラシー:SFA、MA、CRMなどの基本概念の理解と、業務システムとの連携をイメージできる力
- データ分析と活用力:商談化率、LTV、チャーンレートといった指標をもとに課題を特定し、改善提案に落とし込む力
- 関係構築力と継続支援力:信頼関係の醸成と、契約後の定着・活用支援を通じた継続率の向上に貢献する姿勢
これらのスキルに加えて、以下のような経験も、年収を大きく左右する要因となります。
- BtoBセールス経験(特に中長期的な顧客折衝を伴うもの)
- 営業マネジメントの実務経験(KPI設計、予実管理、チームビルディングなど)
- SaaS特有の営業モデルへの理解(MRR/ARR、NRR、カスタマーサクセスとの連携構造など)
このように、SaaS営業で年収を高めるには、個々のスキルや経験だけでなく、顧客・社内・市場の三者を横断的に捉える視点と、再現性のある成果を生み出す仕組みの理解が不可欠です。
単なる営業力だけではなく、事業の成長に貢献する能力としてスキルを高めることが、長期的に業界で活躍し、高収入を実現するための最短ルートといえるでしょう。
高年収を目指すなら、SaaS営業は有力な選択肢
SaaS営業は、無形商材を通じて顧客と継続的な関係を構築しながら、成果に応じて高収入を目指せる職種です。特にフィールドセールスや営業マネジメント職では、年収1,000万円超も現実的な水準となっています。
加えて、SaaS業界そのものが成長を続ける市場であることから、経験者の市場価値も年々高まっています。転職によるキャリアアップや年収の向上が実現しやすい点も、この領域ならではの特徴といえるでしょう。
将来的に高年収を目指すのであれば、SaaS営業は非常に有望な選択肢の一つです。着実にスキルと経験を積み重ねながら、自分らしいキャリアと成長曲線を描いていくことが重要です。
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SaaS営業職への転職をご検討中の方はぜひ以下ボタンより面談予約してください。まだ具体的に転職を考えていない方のご予約も大歓迎です。
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