2025年3月7日公開
最終更新日:2025年3月7日
投稿者:9EキャリアIT・SaaSセールス編集部

SaaS業界の企業・年収ランキング最新版! 売上高含め徹底紹介

近年SaaS市場は成長を続けており、転職先として注目を集めていますが、年収だけでなく、企業の成長性や商材分野の理解が、長期的なキャリアの成功につながります。

しかし、多くの人がSaaS企業を選ぶ際に、「年収ランキング」や「知名度」だけを基準にしてしまいがちです。確かに給与は重要な要素ですが、SaaS業界は競争が激しく、スタートアップ企業の台頭や市場の変化により、企業の成長性に大きな差が生まれます。

また、同じSaaS企業でも、提供する商材の分野によって求められるスキルやキャリアの方向性が異なるため、単純な年収比較だけでは適切な判断ができません。

 

本記事では、国内・外資SaaS企業の年収ランキング一覧を紹介するとともに、企業の将来性や事業内容、成長領域をどのように見極めるべきかを解説します。

さらに、自分に合ったSaaS企業を選び、転職を成功させるためのポイントもご紹介します。

 

転職市場でも動向が活発! SaaS業界の基本を知ろう

クラウドサービスのイメージ

SaaS(Software as a Service)という言葉をよく耳にするものの、具体的にどのような業界なのか説明できますか?

 

SaaS業界はここ数年で急成長を遂げ、クラウド技術やAIの発展とともに広がりを見せています。まずはSaaS業界の基本を押さえておきましょう。

 

SaaS業界とは

SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスです。

従来のパッケージソフトウェアのように、一度購入してPCにインストールするのではなく、インターネット上で利用する形になります。そのため、ユーザーはインターネット接続さえあれば、どこでも利用可能です。また、ベンダー側が運用保守も行うため、常に最新の機能を使えます。

 

SaaSとクラウドサービスはどう違う?

「SaaSとクラウドサービスは同じものでは?」と思うかもしれませんが、厳密にいえば異なります。クラウドサービスとは、クラウド上、つまりインターネット経由で提供されるITサービスの総称であり、SaaSはその一部です。

 

クラウドサービスには、SaaSのほかに、以下の種類があります。

・IaaS(Infrastructure as a Service):サーバーやストレージなどのインフラを提供

・PaaS(Platform as a Service):アプリケーション開発のプラットフォームを提供

 

SaaSは「クラウドサービスの中の一つのカテゴリ」として考えるとよいでしょう。

 

SaaS業界の様々な職種

SaaS業界への転職を考えたら、各職種の役割を理解しておくことが重要です。以下が主な職種となります。

・法人営業(フィールドセールス・インサイドセールス)

・カスタマーサクセス

・エンジニア(Webエンジニア・インフラエンジニアなど)

 

各職種の詳細や求められるスキルは、記事の後半で詳しく解説します。

 

期待が高まるSaaS業界の将来性

今や、企業がSaaS系アプリケーションを導入するのは当たり前の時代になっています。株式会社メタップスの調査(※1)によると、回答企業の半数以上が11個以上のSaaSアプリケーションを活用しているとのことです。この結果からも、SaaSの需要が拡大し続けていることがうかがえます。

 

また、One Capitalの「Japan SaaS Insights 2024」(※2)によれば、日本のSaaS市場は2023年時点で1.4兆円に達しており、来たる2027年には2兆円を超える見込みです。特に、生成AIの進化がSaaS業界の成長をさらに加速させると予測されています。

 

今後は、業務システムやプラットフォーム / インフラ分野が大きく成長すると見込まれています。リモートワークの定着や業務の自動化ニーズの高まりにより、より効率的なクラウドサービスの需要が高まっているためです。

 

さらに、生成AIを活用したSaaSが、業務の最適化や高度なデータ活用を容易にすることで、新たな市場の広がりが期待されています。

 

※1 出典:PRTimes / 株式会社メタップスホールディングス「【2022年度SaaS利用実態調査】11個以上SaaSを導入している企業、2020年比32.7%増加」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000072698.html

※2 出典:One Capital「Japan SaaS Insights 2024」

https://onecapital.jp/en/perspectives/japan-saas-insights-2024

 

▼インサイドセールスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。

「インサイドセールス」って何? 定義や役割、職種の特徴や他の営業職との違い、将来性などまとめて解説!

▼SaaS業界の様々な営業職については、こちらの記事でも解説しています。

SaaS営業とは? 一般営業との違いや仕事内容・メリット・デメリット・転職に必要なスキルなども解説

 

国内SaaS企業の平均年収ランキング

考えにふけるビジネスマン

日本国内のSaaS企業では、業界全体の成長に伴い、年収水準も上昇傾向にあります。ここでは最新データをもとに、平均年収の高い国内おすすめのSaaS企業をランキング形式で紹介します。

 

国内SaaS企業平均年収ランキング1位:株式会社オービックビジネスコンサルタント

  • 平均年収:1,078万円
  • 売上高:​1,115億90百万円(2024年3月期)​
  • 従業員数:​連結2,107名、単体1,898名(2024年3月末日現在)​
  • 事業内容:​システムインテグレーション事業、システムサポート事業、オフィスオートメーション事業​
  • 代表的なSaaS商材:​統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」

オービックは、ERPソリューションを中心に提供する国内トップクラスのSaaS企業です。主力製品「OBIC7」は、多くの企業に導入されており、会計・人事・給与・生産管理などの業務を統合的に管理できます。

 

同社の特徴として、高い専門性を持つコンサルタントを自社育成している点が挙げられます。教育制度が充実しているため、高度な業務知識を持つ人材となれるでしょう。

 

国内SaaS企業平均年収ランキング2位:Sansan

  • 平均年収:750万円
  • 売上高:200億5,800万円(2025年5月期第2四半期)
  • 従業員数:2,030名(2024年11月30日時点)
  • 事業内容:法人向けクラウド名刺管理サービスの提供​
  • 代表的なSaaS商材:「Sansan」(名刺管理サービス)、「Bill One」(請求書管理サービス)

Sansanは、法人向けの名刺管理サービス「Sansan」や個人向けの「Eight」を提供する企業です。名刺データをクラウド上で管理し、営業・マーケティング活動を効率化できる点が評価され、多くの企業が導入しています。

 

同社は、データ活用を軸にした事業展開を行っており、近年は電子契約サービス「Contract One」などの新規事業にも注力しています。営業職やカスタマーサクセス職の需要が高く、特に法人向け営業の経験がある人材は優遇される傾向にあります。

 

平均年収は720万円程度で、成績次第ではインセンティブによって収入を増やすことも可能です。

 

国内SaaS企業平均年収ランキング3位:freee

  • 平均年収:716万円
  • 売上高:約176億円(​2023年6月期)
  • 従業員数:916名(​2023年6月期)
  • 事業内容:スモールビジネス向けの統合型経営プラットフォームの開発・提供
  • 代表的なSaaS商材:クラウド会計ソフト「freee会計」、人事労務ソフト「freee人事労務」

freeeは、中小企業や個人事業主向けのクラウド会計ソフト「freee会計」や、「freee人事労務」などを提供する企業です。会計ソフト市場では、高いシェアを誇り、財務管理の効率化を実現するツールとして多くの企業に導入されています。

 

スタートアップ文化が根付いているため、服装自由、高い有給・育休取得率、充実した福利厚生と自由な働き方が可能です。年収水準は750万円前後で、スキル次第でさらに高収入を狙える環境といえます。

 

国内SaaS企業平均年収ランキング4位:マネーフォワード

  • 平均年収:665万円
  • 売上高:403.6億円(2023年11月期)
  • 従業員数:1,473人
  • 事業内容:個人および法人向けのクラウドサービスの開発・提供
  • 代表的なSaaS商材:個人向け家計簿アプリ「マネーフォワード ME」、法人向けクラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」

マネーフォワードは、個人向けの家計簿アプリ「マネーフォワード ME」や、企業向けのクラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド」などの提供企業です。会計、給与、経費精算、請求書管理など、バックオフィス業務を効率化するSaaSサービスを幅広く展開しています。

 

同社は、積極的にM&Aを行いながら事業の幅を広げており、金融関連サービスにも進出しています。エンジニアやセールスの採用が活発であり、技術力の高い人材が求められています。

 

平均年収は約680万円で、成長中の企業として今後さらに待遇が向上する可能性もあります。

 

国内SaaS企業平均年収ランキング5位:サイボウズ

  • 平均年収:663万円
  • 売上高:296.75億円(2024年12月時点)
  • 従業員数:1,321人
  • 事業内容:グループウェアや業務アプリ作成プラットフォームなど、チームワークを支援するクラウドサービスを提供
  • 代表的なSaaS商材:「kintone」(業務アプリ作成プラットフォーム)、「サイボウズ Office」(グループウェア)

サイボウズは、企業向けのグループウェア「kintone」や「サイボウズ Office」などを提供する企業で、国内SaaS市場において安定した地位を確立しています。なかでも「kintone」は、ノーコード・ローコード開発プラットフォームとして、多くの企業に選ばれています。

 

サイボウズの最大の特徴は、独自の「働き方改革」を実践している点でしょう。フルリモート勤務の推進、副業の容認、選択型人事制度など、柔軟な働き方が可能です。

 

エンジニアやカスタマーサクセス職の採用が活発で、IT業界未経験者でも挑戦しやすい環境が整っています。平均年収は約650万円で、ワークライフバランスを重視した働き方を希望する方には魅力的な企業です。

 

国内SaaS企業平均年収ランキング6位:ラクス

  • 平均年収:642万円
  • 売上高:384億円(2024年3月時点)
  • 従業員数:2,561人(2024年3月時点)
  • 事業内容:経費精算や請求書発行など、企業のバックオフィス業務を効率化するクラウドサービスを提供​
  • 代表的なSaaS商材:「楽楽精算」(経費精算システム)、「楽楽明細」(電子請求書発行システム)

ラクスは、「楽楽精算」や「楽楽明細」などのクラウド業務効率化ツールを提供しており、中小企業向けのSaaSサービスで強みを持つ企業です。経理・人事・総務などのバックオフィス業務を効率化する製品群を展開しており、堅実な成長を遂げています。

 

同社は、営業職やカスタマーサクセス職の採用を強化しており、SaaSの導入支援や企業のDX推進をサポートする人材を求めているようです。

 

平均年収は約640万円で、安定した収益モデルを持つ企業として、長期的なキャリア形成を考えている方に適した環境です。

 

外資系SaaS企業の平均年収ランキング

世界地図を映したノートPC

外資系SaaS企業は、その革新的なサービスと高い給与水準で知られています。​以下に、主要な外資系SaaS企業の平均年収ランキングを紹介します。

 

外資系SaaS企業平均年収ランキング1位:Google

  • 平均年収:約1,100万円~1,500万円程度
  • 売上高:約13兆5,400億円(2024年9月時点)
  • 従業員数:国内約1,300名(2019年時点)
  • 事業内容:検索エンジン、オンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェアなど
  • 代表的なSaaS商材:​Google Workspace(旧G Suite)

Googleは、検索エンジンをはじめ、広告、クラウド、ソフトウェアなど多岐にわたる事業展開をするグローバル企業です。SaaS領域では、Google Workspace(旧G Suite)やGoogle Cloud(旧Google Cloud Platform / GCP)といった企業向けソリューションを提供し、クラウド市場でも大きな存在感を示しています。

 

Google Cloudは、AWSやAzureと並ぶ主要クラウドサービスの一つで、エンタープライズ向けの導入が進んでいます。また、グローバルな環境で働きたい方にも適しており、英語を活かしたい場合、世界規模のプロジェクトに携わりたい場合には、大きなチャンスが広がっているでしょう。

 

給与水準や福利厚生もSaaS業界の中でトップクラスですが、人気企業であるため競争率は高く、求められるスキルや経験も厳しくなります。

 

転職を目指す場合は、クラウド技術やデジタル広告、SaaSプロダクトに関する知識を深め、求められるスキルセットに合う準備をすることが重要です。

 

外資系SaaS企業平均年収ランキング2位:Adobe

  • 平均年収:1021万円~1356万円
  • 売上高:約7,250億円
  • 従業員数:全世界3万名以上
  • 事業内容:クリエイティブソフトウェア、デジタルメディア、デジタルマーケティングソリューションの提供
  • 代表的なSaaS商材:​Adobe Creative Cloud

Adobeは、PhotoshopやIllustratorなどのクリエイティブツールで広く知られる企業です。かつてはパッケージソフトの販売が主流でしたが、現在は「Adobe Creative Cloud」としてSaaS型のサブスクリプションモデルを確立し、安定した収益を上げています。

 

クリエイティブ業界における圧倒的な市場シェアを持ち、継続的なアップデートやAI技術の提供で、ユーザー体験を向上させています。また、デジタルマーケティングソリューションも提供しており、クリエイティブ分野だけでなく、マーケティング分野のSaaS事業にも注力しているのが特徴です。

 

給与水準はSaaS業界の中でも高水準で、グローバルな環境で働けるチャンスもあります。ただし、競争率が高く、クリエイティブ領域やデジタルマーケティングの知識が求められるため、転職を目指す場合は業界理解を深めることが重要です。

 

外資系SaaS企業平均年収ランキング3位:Salesforce

  • 平均年収:1,208万円
  • 売上高:約1,491億円(2025年1月時点)
  • 従業員数:全世界7万人以上
  • 事業内容:​顧客関係管理(CRM)ソフトウェアの提供
  • 代表的なSaaS商材:Salesforce CRM(Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud など)

Salesforceは、クラウドベースのCRM・SFAツールを提供する企業で、SaaSビジネスの先駆者です。Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudなどを通じて、多くの企業の営業・マーケティング活動を支援しており、大企業を中心に支持されています。

 

Salesforceの魅力は、CRM市場での圧倒的なシェアと安定した成長です。Salesforceが経営危機に陥るリスクは極めて低いでしょう。

 

ただし、専門知識が求められるため、CRM・SFAやクラウドソリューションの理解を深めておくことが重要です。特にSalesforceは製品が複雑なため、学習コストがかかります。

 

外資系SaaS企業平均年収ランキング4位:Oracle

  • 平均年収:1,161万円
  • 売上高:2兆4,454億2,000万円
  • 従業員数:国内2,257人
  • 事業内容:データベースソフトウェア、クラウドサービス、エンタープライズソフトウェアの提供​
  • 代表的なSaaS商材:Oracle Cloud Applications(ERP、HCM、CX)

Oracleは、データベース管理システムのリーダーとして長年業界を牽引してきた企業です。近年ではクラウドサービスやSaaSビジネスにも注力しており、Oracle Cloud Applications(ERP、HCM、CX)などの企業向けソリューションを開発しています。

 

Oracleの強みは、エンタープライズ市場での強固な顧客基盤とデータ管理・分析に関する高い技術力です。大企業向けのERP(統合基幹業務システム)やHCM(人事管理システム)といった分野での需要が高く、クラウドサービスの成長も続いています。

 

給与水準もSaaS業界の中で高水準であり、安定した企業基盤のもとでキャリアを築けるでしょう。ただし、エンタープライズ向けソリューションのため、業務知識やITインフラの理解が必要です。

 

外資系SaaS企業平均年収ランキング5位:HubSpot

  • 平均年収:約1,019万円
  • 売上高:約3,955億円
  • 従業員数:全世界8,200名
  • 事業内容:インバウンドマーケティング、セールス、カスタマーサービス向けのソフトウェアの提供​
  • 代表的なSaaS商材:HubSpot CRM、Marketing Hub、Sales Hub

HubSpotは、CRMを基軸に営業やマーケティング、カスタマーサポートの業務を効率化するツールを提供する企業です。

 

Salesforceと似ていますが、Salesforceが大企業向けのCRMを提供するのに対し、HubSpotは中小企業を主なターゲットにしている点が異なります。

 

そのため、製品は使いやすく、Salesforceよりも習得が容易です。SaaS業界未経験でも転職しやすい外資系企業と言えます。SaaS業界の中でも給与水準は高く、特にマーケティングや営業の知識を活かしたい人に適しています。

 

外資系SaaS企業平均年収ランキング6位:Zoom

  • 平均年収:782万円
  • 売上高:約1,777億円(2025年1月時点)
  • 従業員数:国内95名
  • 事業内容:ビデオコミュニケーションプラットフォームの提供
  • 代表的なSaaS商材:Zoom Meetings、Zoom Webinars、Zoom Phone

Zoomはビデオコミュニケーションプラットフォームを提供する企業で、リモートワークの普及により急成長しました。新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業や教育機関に導入されています。

 

オンラインミーティングツール市場では、市場シェア55%(2024年)(※3)を誇り、2位のMicrosoft Teams(32.2%)に大差をつけています。このデータからも、オンラインミーティングの標準ツールとしての地位を確立しつつあるといえるでしょう。

 

給与水準はSaaS業界では平均的ですが、少人数の組織のため裁量権を持って働ける環境が魅力です。

 

※3 出典:statista「Market share of videoconferencing software worldwide in 2024, by program」

https://www.statista.com/statistics/1331323/videoconferencing-market-share/

 

SaaS業界の分析時に注目すべき「ARR」とは?

電卓と疑問符

SaaS業界の企業を評価する際、売上や利益だけでなく、ARRという指標に注目することが重要です。特に、サブスクリプションモデルを採用しているSaaS企業では、ARRの成長率がビジネスの安定性や将来性を測る重要な指標となります。

 

では、ARRとは何か、どのように計算されるのか、なぜ重要なのかを詳しく解説していきます。

 

ARRとは

ARR(Annual Recurring Revenue)とは、日本語で「年間経常収益」または「年間定期収益」と訳される指標です。これは1年間の定期的な収益を表し、サブスクリプション型ビジネスでは欠かせない指標となっています。

 

計算式は以下の通りです。

 

・ARR = MRR(Monthly Recurring Revenue) × 12

 

MRR(Monthly Recurring Revenue)は、1か月あたりの定期収益のことです。これを12か月分に換算することで、年間の定期収益が算出されます。

 

たとえば、あるSaaS企業が毎月500万円のサブスクリプション収益を得ている場合、その企業のARRは以下のようになります。

 

・ARR = 500万円 × 12 = 6,000万円

 

サブスクビジネスにおけるARRの重要性

それでは、なぜSaaS企業においてはARRが重要なのでしょうか。

 

SaaS企業では、単発の売上よりも継続的な収益がビジネスの安定に直結します。そのため、ARRが高い企業は「安定したキャッシュフローを確保している」と判断され、投資家や経営者からの評価が高くなるためです。

 

ARRの成長率が高い企業ほど、安定した収益基盤を持ち、新規顧客の獲得や既存顧客の継続利用がうまくいっていると判断できます。転職候補を検討する際は、ARRまで確認してみましょう。

 

SaaS企業の「ARR成長率」の見方

ARRの成長率は、以下の計算式で算出できます。

 

・ARR成長率 =(今年のARR − 昨年のARR) ÷ 昨年のARR × 100

 

たとえば、昨年のARRが5億円で、今年のARRが7億円だった場合、ARR成長率は以下のようになります。

 

・ARR成長率 =(7億円 − 5億円) ÷ 5億円 × 100 = 40%

 

一般的に、ARR成長率が20%以上であれば高成長企業、50%以上であれば急成長企業と評価される傾向があります。成長段階にあるSaaS企業では、この指標を重視して投資判断が行われることが多いです。

 

転職するSaaS企業を選ぶときのポイント

ポイントを説明する女性

SaaS業界は成長が著しく、多くの企業が市場に参入しています。そのため、転職を考える際には、単に年収だけで選ぶのではなく、自分に合った企業を見極めることが重要です。ここでは、転職先を選ぶ際に考慮すべきポイントをご紹介します。

 

自分の興味や強みを活かせる分野を選ぶ

SaaSと一口に言っても、その種類は様々です。マーケティング、業務効率化、コラボレーション、エンタープライズ向け、AI・データ分析など、それぞれ特化した分野が存在します。

 

先に見てきた企業の例を挙げれば、Salesforceはマーケティングやセールス領域、freeeやマネーフォワードは業務効率化、サイボウズやZoomはコラボレーションに強みがあります。

 

また、各SaaS企業がターゲットにしている業界の理解も重要です。BtoB向けSaaSは、企業の課題解決が主な目的となるため、導入後のカスタマーサクセスやサポートが重視されます。

 

一方、BtoC向けSaaSは一般消費者が直接利用するため、使いやすさや直感的なUI / UXが重要です。

 

そのため、営業職の場合は自身の経験を活かせる業界に属する企業を選ぶことが、スムーズなキャリア形成につながります。エンジニアであれば、開発環境や技術スタックが自分のスキルとマッチしているかを確認することが重要です。

 

企業規模や成長性で選ぶ

転職の際、年収だけで企業を選ぶのは得策ではありません。

 

SaaS業界は競争が激しく、新参企業が次々と登場する一方で、成長が鈍化する企業もあります。企業の規模や成長性を考慮することで、長期的なキャリアの安定性を確保できます。

 

スタートアップやベンチャー企業は、急成長中のため、新しいポジションが次々と生まれる可能性があります。裁量権が大きく、スピード感のある環境で働きたい人には適していますが、事業の安定性という点ではリスクも伴います。

 

対して成長中の企業では、新規サービスの開発や市場開拓のために新しい取り組みを求められることが多く、変化に柔軟に対応できる人材が重宝されます。

 

中堅SaaS企業は、スタートアップほどの不安定さはなく、一定の成長を遂げています。営業やエンジニアの採用も積極的に行われ、組織の仕組みが整備されつつある企業が多いです。教育制度やキャリアアップのチャンスも充実しており、安定しながらも成長の余地がある環境で働きたい人に向いています。

 

大手や外資系SaaS企業は、すでに市場での地位を確立しているため、ブランド力や企業の安定性が魅力となります。給与水準が高く、福利厚生も充実しているケースが多いですが、入社の難易度も高くなります。

 

外資系企業の場合は英語力が求められることもあり、基本給+インセンティブという実力主義の評価となる可能性が高いです。最近では、AIの台頭により人員削減を進める大手SaaS(特に外資)企業が多い点も注意しましょう。

 

企業の成長性を判断するためには、売上高の推移やARRなどの指標をチェックします。また、業界動向や競合との比較も含めて分析することで、転職先として適しているかどうかの判断が行えます。

 

企業の実績・理念・ビジョンを理解して選ぶ

SaaS企業はそれぞれ独自のミッションやビジョンを掲げています。

 

たとえば、Sansanは「ビジネスインフラになる」という理念のもと、名刺管理を軸にした営業支援サービスを展開しています。freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に」というミッションを掲げ、スモールビジネス向けの業務支援サービスを提供しています。

 

このようにSaaS企業においては、企業理念が製品サービスの核となるため、最終的に理念に大きく共感している人が採用される傾向にあるのです。

 

転職を考える際は、自分自身が共感できる企業の理念を理解し、なぜその企業で働きたいのかを明確にすることが、転職の成功につながります。

 

「この企業のサービスを世の中に広めたい」「このミッションに共感し、成長に貢献したい」といった強い動機があれば、面接でも説得力のあるアピールができるでしょう。

 

福利厚生も含めた待遇面で選ぶ

給与だけでなく、福利厚生も転職先を選ぶ上で重要な要素です。SaaS企業の多くは、リモートワークやフレックスタイム制度を導入しており、柔軟な働き方が可能な企業も多くあります。

 

また、外資系SaaS企業では、ストックオプションや業績連動ボーナスが充実しているケースもあります。スタートアップでは、企業の成長とともに報酬が増加する可能性があるため、将来性を見込んで待遇を考えるのもよい選択肢です。

 

育児・介護支援制度、健康管理プログラムなどの充実度も確認しておくと、長期的に働く上で安心できる要素となります。SaaS企業は労働環境の整備に積極的な傾向がありますが、企業ごとに方針が異なるため、事前に調査しておくとよいでしょう。

 

社風・雰囲気で選ぶ

企業文化や職場の雰囲気も、転職後の働きやすさを左右する要素です。公式サイトや採用ページだけでなく、実際に働いている社員のSNSやブログを参考にすることで、リアルな職場環境を把握できます。

 

また、転職サイトの口コミや評価をチェックするのも一つの方法です。口コミサイトでは、実際の社員の意見が掲載されており、企業の社風を客観的に知ることができます。

 

SaaS業界へ転職するための準備

転職活動中の男性

ここでは、SaaS業界の主要職種である法人営業、カスタマーサクセス、Webエンジニア、インフラエンジニアについて、それぞれの役割や求められるスキル、準備すべきことを詳しく解説します。

 

法人営業で活躍したい場合

SaaS業界の法人営業は、企業向けにクラウドサービスを提案し、契約の獲得や長期的な関係構築を行う役割を担います。単なる「売り切り型」ではなく、顧客の課題解決や導入後のサポートを含めた「コンサルティング営業」が求められるのが特徴です。

 

この職種では、フィールドセールス(対面営業)とインサイドセールス(オンライン・電話営業)の2種類の営業スタイルがあります。

 

フィールドセールスは、大手企業などの大口顧客向けに深い関係を築きながら提案を行う営業であり、インサイドセールスはリードに対してオンラインで効率的にアプローチする営業手法です。

 

法人営業職に求められるスキルとして、ヒアリング力、課題解決力、プレゼンテーション能力が挙げられます。SaaS営業では、顧客の業務課題を深く理解したうえで、適合する最適なソリューションを提案する必要があります。そのため、ITやクラウド技術の基礎知識を身につけることも重要です。

 

準備としては、SaaS業界の基礎知識を学び、競合企業や市場動向を把握しておくとよいでしょう。また、CRMやSFAを活用した営業活動が主流となっているため、SalesforceやHubSpotの基本的な使い方を理解しておくと即戦力として活躍しやすくなります。

 

カスタマーサクセスで活躍したい場合

カスタマーサクセスは、導入した顧客が継続的にサービスを活用し、最大限の価値を得られるように支援する役割を担います。

 

SaaSビジネスでは、契約後の顧客の継続利用が売上の安定化につながるため、カスタマーサクセスの重要性が非常に高まっています。

 

求められるスキルとしては、基本的なコミュニケーション能力に加え、課題解決力、データ分析スキルが重要です。顧客の利用状況を分析し、適切なタイミングで適切な提案を行うことが求められるため、データドリブンなアプローチが欠かせません。

 

カスタマーサクセスへの経験がなくとも、営業・インサイドセールス、マーケティング、カスタマーサポート、コンサルティングの経験があれば採用される確率は高まります。

 

Webエンジニアで活躍したい場合

SaaS業界のWebエンジニアは、クラウド上で動作するサービスの開発や改善を担当します。SaaSの性質上、ベンダー側が保守運用をするため、アジャイル開発やDevOpsの知識があると重宝されるでしょう。

 

主に求められるスキルとしては、プログラミング言語の習得が欠かせません。バックエンド開発ではPython、Ruby、Go、PHPなどが使われることが多く、フロントエンドではJavaScript(ReactやVue.jsなどのフレームワーク)が主流です。また、データベース(MySQL、PostgreSQLなど)やAPIの設計・実装能力も重要です。

 

SaaS開発では、クラウド環境(AWS、Google Cloud、Azureなど)の活用が前提となることが多いため、クラウドサービスの基礎知識を身につけておくようにしましょう。

 

さらに、SaaS製品はUI / UXが重視されるため、これらの知識もあると重宝されます。

 

インフラエンジニアで活躍したい場合

SaaS企業のインフラエンジニアは、システムの安定稼働を支える役割を担います。

 

クラウド環境を活用して、スケーラブルで信頼性の高いインフラを設計・構築・運用することが主な業務です。SaaSは多数のユーザーが同時にアクセスするため、高い可用性やパフォーマンスの最適化が求められます。

 

求められるスキルとして、AWSやGoogle Cloud、Azureなどのクラウドプラットフォームの知識は必須です。また、DockerやKubernetesといったコンテナ技術、CI / CDパイプラインの構築、監視ツール(Datadog、Prometheusなど)の活用経験も重要になります。

 

インフラエンジニアとしてSaaS業界に転職する場合、まずはクラウド認定資格(AWS認定ソリューションアーキテクト、Google Cloud Professionalなど)を取得するとよいでしょう。

 

また、実際にクラウド環境でシステムを構築し、技術ブログやGitHubで公開することで、自分のスキルをアピールすることが可能です。

 

SaaS業界へ転職する際には年収だけでなく将来性や商材の分野もチェック!

本記事では、主なSaaS企業の年収ランキングをご紹介しました。

転職において年収は重要な要素ですが、将来性や理念、自身のスキルとマッチしているかどうかの確認も必要です。本記事を参考に、自分にとって最適な企業を見つけ、理想のキャリアを築いていただければ幸いです。

 

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