2025年4月22日公開
最終更新日:2026年7月30日
SaaS業界の将来性はある? 転職のポイントや働くメリットもあわせて徹底解説
SaaS業界への転職を検討しているものの、今後SaaS業界はどうなるのか、将来性について気になっている人もいるのではないでしょうか。クラウドサービスが急速に普及し、SaaS業界も右肩上がりで成長を続けていますが、今後はどうなっていくのでしょうか。
本記事では、SaaS業界の将来性、そしてSaaS業界で働くことのメリット・デメリット、需要が高い職種など転職に役立つ情報を紹介します。
【関連記事】当社が運営する「IT・SaaS業界セールス転職支援サービス」の特徴・選ばれる理由・登録のメリットについてご紹介。
SaaS業界とは
SaaS業界は現在急速に市場が伸びています。最初にSaaS業界の概要、そして市場が急速に伸びた理由について解説します。
SaaS業界の概要
SaaS(Software as a Service)とは、インターネットを通じてソフトウェアを提供するビジネスモデルのことです。代表的なサービスを以下の一覧にまとめました。
従来のソフトウェアはCD-ROMなどのパッケージを購入し、パソコンにインストールして使用していました。この場合は、その端末でしかソフトウェアを利用できません。SaaSは、インターネットに接続できればいつでもどこでも利用できるため、急速に普及しました。
また、SaaSはサブスクリプション型という料金モデルのため、初期費用が抑えられる上、常に最新バージョンを利用できる点も大きな特徴です。提供されるサービスの中には、無料で利用できるものも存在します。このため多くの業界でも利用されるようになり、SaaSは急速に普及しました。
代表的なSaaS企業一覧(国内・海外)
上記はサービス単位の例ですが、実際にSaaS業界で働くことを検討する際には、どのような企業がどの領域でプロダクトを展開しているかを俯瞰的に把握することが役立ちます。以下に、国内外の代表的なSaaS企業をカテゴリ別に整理しました。
国内の主なSaaS企業
| カテゴリ | 企業名 | 主なプロダクト |
| CRM・営業支援 | Sansan株式会社 | Sansan、Eight |
| 会計・財務 | フリー株式会社 | freee会計、freee人事労務 |
| 会計・財務 | マネーフォワード株式会社 | マネーフォワード クラウド |
| 人事・労務 | SmartHR株式会社 | SmartHR |
| 経費精算 | 株式会社ラクス | 楽楽精算、楽楽明細 |
| コラボレーション | 株式会社kubell | Chatwork |
| 業務改善・DX | サイボウズ株式会社 | kintone、Garoon |
| マーケティング | 株式会社データX | b→dash |
海外の主なSaaS企業
| カテゴリ | 企業名 | 主なプロダクト |
| CRM・営業支援 | Salesforce, Inc. | Salesforce、Slack |
| オフィススイート | Microsoft Corporation | Microsoft 365、GitHub |
| オフィススイート | Google LLC | Google Workspace |
| Web会議 | Zoom Video Communications | Zoom |
| クリエイティブ | Adobe, Inc. | Adobe Creative Cloud |
| カスタマーサポート | Zendesk, Inc. | Zendesk |
| セキュリティ | Okta, Inc. | Okta(ID管理) |
これらの企業は、BtoB(法人向け)を中心に幅広い業種・規模の企業に自社プロダクトを提供しています。近年は特定の業界や業務に特化した「バーティカルSaaS(垂直型SaaS)」と呼ばれるカテゴリも急成長しており、医療・建設・製造・不動産など各業界に特化したSaaS企業が多数生まれています。転職先を選ぶ際は、自身の業界知識や専門性が活かせる領域のSaaS企業を探すことも有効な戦略のひとつです。
SaaS・PaaS・IaaSの違い
SaaSを正しく理解するためには、同じクラウドサービスに分類されるPaaS(Platform as a Service)やIaaS(Infrastructure as a Service)との違いを把握しておくことが重要です。
クラウドサービスは、提供する「範囲」によって大きく3つの種類に分けられます。最も下の層にあるIaaSは、サーバーやネットワーク、ストレージといった「インフラ(土台)」のみをクラウド上で提供するサービスです。AWSのEC2やGoogle Cloud、Microsoft Azureが代表例であり、エンジニアが自社でOSやミドルウェアを自由にセットアップして使用します。
その上に位置するPaaSは、アプリケーションを開発するための「プラットフォーム(開発環境)」を提供するサービスです。OSやミドルウェアまでクラウド側が管理してくれるため、開発者はアプリケーションのコードを書くことに専念できます。Google App EngineやHerokuが代表例として挙げられます。
そして最も上の層にあるSaaSは、アプリケーションそのものが「完成品」の状態で提供されるサービスです。ユーザーはブラウザからログインするだけで、インフラや開発環境を意識することなくすぐに使い始められます。前述のZoomやGoogle Workspace、Salesforceなどがこれにあたります。
| 種別 | 提供範囲のイメージ | 主な利用者 | 代表例 |
| IaaS | 土台(インフラ) | エンジニア・ITチーム | AWS EC2、Google Cloud |
| PaaS | 開発環境(プラットフォーム) | ソフトウェア開発者 | Heroku、Google App Engine |
| SaaS | 完成品(アプリケーション) | ビジネスユーザー全般 | Zoom、Salesforce、freee |
SaaS業界への転職を検討するうえでは、「自分が関わるのはアプリケーションの販売・活用支援である」という認識を持つことが、業務理解を深めるための第一歩となります。
SaaS業界とSIerをはじめとするIT業界の違い
「IT業界への転職」と「SaaS業界への転職」は、似ているようで実態が大きく異なります。一般的にIT業界と聞いてイメージされるSIer(システムインテグレーター)やソフトウェアパッケージ販売会社とは、ビジネスモデルや求められるスキルセットが根本から違うためです。
SIerは、顧客企業から受注した要件をもとにシステムをゼロから開発する「受託開発」が主なビジネスモデルです。案件ごとに開発費や導入費を一括で得る「フロー型」の収益構造であり、納品後の関わりは保守・運用サポートに留まることが多いです。顧客の要望に沿ったシステムをカスタムで構築するため、個別対応力や要件定義スキルが重視されます。
一方、SaaS企業は自社で開発したプロダクトをサブスクリプション(月額・年額制)で提供し続ける「ストック型」の収益構造です。契約が継続する限り安定した収益が積み上がる半面、解約(チャーン)を防ぎ、顧客に使い続けてもらうことが事業の根幹となります。そのため、売って終わりではなく、導入後の活用支援や顧客の成果創出まで責任を持つカスタマーサクセスという職種が非常に重視されることも、SaaS業界の大きな特徴です。
| 項目 | SIer(受託開発) | SaaS企業 |
| 収益モデル | フロー型(案件ごとの一括収益) | ストック型(月額・年額のサブスクリプション) |
| プロダクト | 顧客ごとのカスタムシステム | 自社開発の標準プロダクト |
| 営業スタイル | 要件定義・提案型 | 課題解決・価値提案型 |
| 契約後の関わり | 保守・運用サポートが中心 | カスタマーサクセスによる継続支援が核心 |
| 重視されるKPI | 売上・原価・利益率 | MRR・ARR・Churn Rate・LTV など |
このような違いを理解した上でSaaS業界への転職を目指すことで、企業選びの精度も高まり、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。
SaaS業界の現状
近年、SaaS業界は急速な成長を遂げています。総務省が発表した「令和5年 通信利用動向調査」(※1)によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は77.5%と、約8割の企業が利用しています。また、ITR市場調査によると、クラウドサービスの中でもSaaSの利用が最も多く、また継続して伸び続けていることが分かります。
※1 出典:総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/240607_1.pdf
SaaS業界の市場が伸びた主な理由
SaaS業界の市場が急速に伸びた理由として、以下のような背景が挙げられます。
・企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
・リモートワークのニーズの拡大
・IoTやビッグデータなどの急速なIT技術革新
DXの推進により業務のデジタル化が進められる中、初期費用や運用・保守負担の少ないSaaSは重要なソリューションとして注目され、中小企業でも導入されるようになりました。また、リモートワークのニーズが拡大し、実現方法としてSaaSが選ばれることも要因の1つです。
さらに、IoTやビッグデータなどの技術が急速に普及し、企業の業務効率化を後押しする重要な要素となりました。これらの背景とSaaSそのもののメリットも合わさり、SaaS市場は急速に拡大したといえます。
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SaaSのビジネスモデルを支える重要指標と課金モデルの変化
SaaSがなぜ投資家や転職市場で注目されるのか、その背景を理解するには「サブスクリプション型」という言葉の裏側にある具体的なビジネスの仕組みを知ることが欠かせません。SaaS企業の経営状態や成長性を評価するために使われる独自の指標群と、現在進行形で起きている課金モデルの変化について解説します。
SaaS業界の重要キーワード(MRR・ARR・Churn Rate・LTV・CAC)
SaaS企業の評価では、一般的な製造業や小売業とは異なる独自の指標が使われます。転職活動の面接や入社後の業務において必ず登場するため、基本的な意味を把握しておきましょう。
MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益) は、ある月に契約中の顧客全員から得られる定期収益の合計です。たとえば月額1万円の契約が100社あれば、MRRは100万円となります。事業の「いま」の健全性を測る最も基本的な指標です。
ARR(Annual Recurring Revenue:年次経常収益) は、MRRを12倍したもので、年間ベースでの定期収益規模を示します。投資家がSaaS企業の規模感を評価する際にもっとも参照される数字であり、「ARR10億円達成」のような形で企業の成長マイルストーンとして使われます。
Churn Rate(チャーンレート:解約率) は、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標です。サブスクリプション型ビジネスにおいては、既存顧客が解約せずに使い続けてくれることが収益安定の大前提となるため、解約率を低く保つことはSaaS企業にとって最重要課題のひとつです。一般的に月次チャーンレートは1〜2%以下が健全とされており、これを超えると新規獲得だけでは成長が追いつかなくなります。
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値) は、ひとりの顧客が契約開始から解約するまでの期間に、企業にもたらす収益の総額を示します。チャーンレートが低くなるほど契約継続期間が延びるため、LTVは高まります。
LTV=ARPA(1顧客あたり平均月次収益)÷ 月次チャーンレート
CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト) は、新規顧客1社を獲得するためにかかった営業・マーケティングコストの平均額です。SaaS企業の収益性を判断するうえで「LTV ÷ CAC」という比率(ユニットエコノミクス)が重視されており、一般的にこの値が3倍以上あれば健全なビジネスモデルとされています。
| 指標 | 意味 | LTVなぜ重要か |
| MRR | 月次の定期収益合計 | 事業の現状の健全性を把握 |
| ARR | 年次の定期収益合計 | 投資家・経営判断の基準 |
| Churn Rate | 解約率 | 低いほど収益が安定・拡大 |
| LTV | 顧客生涯価値 | 1顧客がもたらす長期収益 |
| CAC | 顧客獲得コスト | LTVとの比率で収益性を評価 |
これらの指標はSaaS業界での転職面接でも頻繁に問われる内容であり、営業職・マーケティング職問わず、基本的な知識として身につけておくことが求められます。
課金モデルの転換——「ID課金」から「成果課金」へ
従来のSaaSでは「アカウント数×月額料金」という「ID課金(シートベース課金)」が主流でした。ユーザーが増えるほど、企業が払うライセンス料も増えるというシンプルなモデルです。しかし、生成AIやAIエージェントの急速な普及により、この課金モデルが根本から問い直されています。
AIが1人で数十人分のタスクをこなせるようになると、「何人がアカウントを持っているか」ではなく「どれだけの成果を生み出したか」に対して対価を払う方が合理的です。この流れを受け、「消費量ベース(従量課金制)」や「成果報酬型(Result as a Service)」と呼ばれる新しい課金モデルへのシフトが加速しています。
たとえば、営業支援SaaSが月額固定料金ではなく「獲得した商談1件につき○円」という形で課金するモデルや、経費精算SaaSが処理した明細件数に応じて課金するモデルなどが、すでに登場し始めています。IDC(国際データグループ)は2028年までに70%以上のソフトウェアベンダーが消費量ベースまたは成果ベースの課金モデルへ移行すると予測しており、この変化はSaaS業界全体のビジネスモデルを再定義しつつあります。
SaaS業界で働く営業職やカスタマーサクセス担当者にとっても、この課金モデルの変化は職務内容に直接影響します。「契約を取る」ことよりも「顧客の成果にコミットする」スキルの重要性が今後ますます高まっていく点は、転職前から意識しておきたいポイントです。
SaaS業界に将来性はある?

これからSaaS業界への転職を検討している方にとっても気になるであろう、業界の将来性について要点をご紹介します。
SaaS業界は今後も右肩上がりが続く見通し
SaaS業界は、今後も右肩上がりの成長が続く見通しです。その主な理由は、以下の3点が挙げられます。現在はAI技術が非常に注目されており、SaaSでもAI技術を活用したサービスが多数展開されています。また、多くの業界向けのサービスも展開されており、SaaS導入が加速しています。
特に、行政や教育機関など非IT分野にもSaaSが浸透し始めていることから、SaaS業界は今後も成長を続けるといえます。
SaaS業界への転職需要
SaaS業界は成長市場であるため、転職需要も非常に高い状況にあります。特に、マーケティングやフィールドセールス、インサイドセールスなどの営業職は人材不足の状態であり、需要が高いです。
また、SaaS業界は、常に変化に対応できる人材が求められているため、大手SaaS企業だけでなく、スタートアップ企業も採用に力を入れています。今後も転職需要が高い状況は続くと予測されています。
SaaS業界への転職難易度
SaaS業界への転職難易度はそれほど高くありません。需要が高いというだけでなく、業界未経験の方でも転職可能であるためです。学歴はあまり重視されませんが、経験やスキルを重視される傾向にあるため、今後経験者が増えることで難易度が高まると見られています。
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SaaS業界の成長分野

SaaS業界はすでに多くの分野で活用されていますが、さらに成長が期待される領域もあります。特に期待されているのが、以下の3つです。
- 生成AIやAIエージェントの分野
- 金融業界
- 教育業界
それぞれについて、さらに解説します。
生成AI、AIエージェント
生成AI、AIエージェントは、SaaS業界で特に注目されている分野です。ChatGPTの登場により生成AIが急速に普及し、テキストや画像を生成する機能をもったSaaSが多数登場しています。例えばMicrosoft 365ではCopilot、Google WorkspaceであればGeminiといった生成AIが、コンテンツ制作やデータ分析に活用されています。
また、昨今ではAIエージェントを利用して業務プロセス全体の効率化、顧客満足度向上が可能です。今後もSaaS業界の中でAI分野は目が離せません。
金融業界
金融業界では、金融サービスとIT技術を結びつけて新しいサービスを提供する「Fintech」が急速に成長しています。例えば銀行業務をデジタル化したサービス「BaaS」(Banking as a Service)では、決済処理や資産管理、ローン審査などをクラウドサービスとして提供しています。
その他にも顧客管理システムやコンプライアンス管理システムなど、特にセキュリティや法規制に厳しい金融業界に対応したSaaSが登場し、市場規模の拡大を後押ししています。保険や証券会社向けのサービスも登場しており、今後も金融業界においてSaaSの需要が高まると見られています。
教育業界
教育業界では新型コロナウィルス感染症の影響もあり、eラーニングをはじめとしたオンラインでの学習サービスが急速に広まっています。特に動画配信やAI技術を活用したサービスは、教育の質の向上に貢献しています。また生徒の出欠や成績を管理する機能やコミュニケーションツールも業務効率化を実現する重要なポイントです。
さらに近年では、生徒の成績をもとに個別に最適化した学習内容を提供する機能や、仮想教室といった新しい機能を取り入れたサービスが登場し、注目を集めています。SaaSの導入は学校教育だけでなく企業の新入社員研修や資格取得研修向けにも進み、今後も教育分野の需要は高いといえるでしょう。
「SaaSの死」をめぐる議論と日本市場の可能性
SaaS業界の将来性を正確に理解するためには、現在業界内で起きているリスクと変化の議論から目を背けないことが重要です。ポジティブな成長予測と同時に、「SaaSは死んだ(SaaS is Dead)」という議論が世界規模で広まっている背景を知ることで、どの領域に将来性があるのかをより立体的に判断できるようになります。
「サースポカリプス(SaaS黙示録)」の衝撃
2026年2月初頭、世界のソフトウェア株式市場でSaaSpocalypse(サースポカリプス)と呼ばれる大規模な株価下落が発生しました。わずか1週間で約1兆ドル(約150兆円)規模の時価総額が消失し、SalesforceやAdobeといった大手SaaS企業の株価も大きく揺れました。
この暴落の直接的なきっかけは、AIエージェントの急速な進化です。人間がSaaSの操作画面を開いて手動でポチポチと入力・操作する必要がなく、AIが複数のSaaSを横断して自律的に業務を完結させるようになりつつある——そのような現実が投資家の目に映ったことで、「人間のアカウント数に課金する従来のSaaSビジネスモデルに限界が来た」という見方が市場全体に広がりました。
これは単純な景気サイクルの揺り戻しではなく、20年以上にわたって築かれてきたSaaSというビジネスモデルそのものへの構造的な問い直しが起きていることを示しています。
「SaaS is Dead(SaaSの死)」の真相
「SaaS is Dead」という言葉は、SaaS市場が消滅するという意味ではありません。Microsoftのサティア・ナデラCEOをはじめとするテック業界のリーダーたちがこの言葉を使うとき、それが指しているのは「特定のビジネスモデルの死」です。
死にゆくとされているのは、主に以下の3点です。第一に、「アカウント数×月額料金」というID課金モデルの限界です。AIが少人数で膨大な業務をこなせる時代に、シート数で課金する仕組みは企業側の支払い意欲を大きく下げます。第二に、「人間が画面を操作することを前提としたUI」の価値低下です。AIエージェントがAPIを通じて裏側で処理を完結させる場合、洗練された管理画面の存在意義は薄れていきます。第三に、「汎用的な機能を並べただけの差別化のないSaaS」の淘汰です。競合他社と似たような機能を持つだけのツールは、よりコストの低い代替手段に置き換えられるリスクが高まっています。
つまり「SaaSの死」は、すべてのSaaSが終わりを迎えるという意味ではなく、AIと組み合わさった新しいかたちに進化できないSaaSが淘汰されるという意味での「転換点」を指しているのです。これからSaaS業界への転職を検討する際は、志望企業がこの転換にどう対応しているかを見極める視点が一層重要になります。
日本市場の特殊性—まだ広大な「白地市場」が残っている
世界規模でのSaaS再編議論が進む一方で、日本のSaaS市場には独自のポジティブな側面があります。現時点で、IT支出全体に占めるSaaSの割合は日本が約4%であるのに対し、米国では15〜18%とされており、普及率の観点で大きな差が残っています。
調査会社IDCの分析によると、国内SaaS市場は2024年の約1.4兆円から2029年度には約3.4兆円規模への拡大が予測されており、年平均成長率(CAGR)は11.6%にのぼります。DX推進の遅れや深刻なエンジニア不足を背景に、まだSaaS化されていない業務領域(白地市場)が国内には豊富に残っており、特に中小企業や地方の企業、医療・建設・製造といった非IT産業においては、今後のSaaS導入余地が非常に大きい状況です。
グローバルの競争激化や事業モデルの変化を踏まえても、日本市場固有の成長ポテンシャルは依然として高く、これが国内SaaS業界の転職市場が引き続き活況を呈している大きな理由のひとつとなっています。
SaaS業界の課題

SaaS業界は今後も成長が期待でき、将来性が高いですが、企業にとってSaaSの導入において乗り越えるべき課題があります。ここではSaaS業界における課題について解説します。
企業の意思決定が長期化する
SaaSの導入において多くの企業が抱える課題は、意思決定が長期化することです。SaaSの導入は複数の部門に影響を及ぼすため、導入判断が下るまで時間がかかります。また、導入を決めるためには既存システムとの連携や互換性の問題、PoC(概念実証)の実施やROI(投資対効果)の確認など、多くの検討や改善が必要です。その結果、SaaS導入を決めるのに規模によっては1年以上かかる場合も少なくありません。
そのため、SaaSセールスにおいては、導入コンサルティングやPoCの提供などを通して、企業の意思決定をサポートする取り組みが求められます。また、SaaSは導入後の効果測定が難しいため、SaaS導入による具体的なメリットを提示し、効果を実証するアプローチが必要です。
ITリテラシー不足
SaaS業界の課題のもう1つは、ユーザー企業のITリテラシー不足が挙げられます。中小企業や非IT部門では、SaaSの利便性が理解できなかったり、実際に導入しても使いきれず利用に難色を示したりするケースがあります。その結果、SaaSが導入されても活用されないまま放置され、十分な効果が得られないことも少なくありません。
SaaSセールスにおいては、導入支援だけでなく、ユーザー教育やトレーニングプログラム導入後のサポートも十分に行うことが重要です。
人材不足
SaaS業界に限らず、クラウドエンジニアやデータアナリストといったITエンジニアが不足しているという課題が挙げられます。経済産業省が公表した調査結果(※2)によると、日本全体では2025年で約43万人、2030年には約79万人に達する見込みとされています。そのため、最新技術やトレンドに対応した人材の確保や継続的な育成が重要です。
人材不足の対応としては人材確保以外に、AIを活用した開発や、専門的なスキルがなくとも開発が可能なローコード・ノーコードツールの活用が挙げられます。
※2 出典:みずほ情報総研株式会社「-IT人材需給に関する調査-」(経済産業省委託事業)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
カスタマイズの難しさ—SaaSが持つ構造的な制約
SaaS業界の課題として、導入側(企業)の観点からもう一点押さえておきたいのが、カスタマイズの難しさという構造的な制約です。
従来のオンプレミス型システムや受託開発では、顧客企業の要望を細かく取り込んだカスタムシステムを構築することが可能でした。一方でSaaSは、基本的に「一つのプロダクトを多数の企業が共同利用する」マルチテナント構造をとっており、特定の顧客に合わせた大幅な仕様変更が難しい設計になっています。
これはSaaS企業にとっては開発・保守コストを低く抑えて拡張性を保つための合理的な選択ですが、導入する企業側からすると「既存の業務フローに合わせてシステムを変えたい」という要望が通りにくい場面が出てきます。たとえば、承認ルートのカスタマイズや、社内固有の項目追加、レガシーシステムとの特殊な連携などが求められるケースでは、SaaSでは対応しきれない場合もあります。
SaaS企業の営業職やカスタマーサクセス担当者として働く場合、顧客から「もっとこういった設定ができないか」「ここをウチの運用に合わせて変えてほしい」という要望を受けることは珍しくありません。そのような場面では、プロダクトの制約を正直に説明しながらも、標準機能の範囲内での代替案を提示したり、要望を開発チームにフィードバックして将来的な機能追加につなげたりする対応力が求められます。カスタマイズ制約はSaaSのデメリットとして語られることもありますが、裏を返せば「標準化されたプロダクトで多くの企業の課題を解決できる」というスケーラビリティの高さと表裏一体の特性でもあります。
SaaS企業で働くメリット

SaaS業界で働くことには多くのメリットがあります。ここでは主要なメリットを4つ解説します。
スキルや業界の最先端に触れられる
SaaSには常に新しい技術をつかったサービスが登場しており、基礎となるクラウド技術の他、AI技術やデータ分析など、業界最先端の技術に触れることができます。また、これらの技術をビジネスに生かすため、マーケティングやユーザーの声など、営業面でのトレンドを得られるというメリットも大きいです。
SaaSは成長スピードが速いだけでなく、あらゆる業界で求められる重要なソリューションとなっています。SaaS業界で働く人はスキルや経験を得ることで、より自身の市場価値を高め、貴重な人材となれるでしょう。
SaaS業界全体で将来性がある
SaaSは今後もサービスの進化と拡大が続くと予測されており、SaaS業界は将来性の高い業界です。その理由は前述のとおり、DXの推進やリモートワークの普及といった背景があるためです。よって、SaaS業界で働く人にとって今後も多くのビジネスチャンスが広がっているといえるでしょう。
また、SaaS業界は安定したキャリアを築けるだけでなく、グローバルなキャリア形成も可能です。それに加えて景気変動の影響を受けにくいという点も含め、「長く働ける環境」を求める人にとっては大きな魅力です。
キャリアパスの選択肢が多い
SaaS業界にはさまざまなキャリアパスがあり、自身のスキルに合わせて選択できます。キャリアパスの例としては以下が挙げられます。
- 営業、マーケティング
- プロダクトマネージャー
- カスタマーサクセス
- データアナリスト
- クラウドエンジニア
さらに、SaaSが他の業界でも重要な位置づけとなっているため、SaaS業界で得た経験は他の業界でも評価されやすく、幅広いキャリアに活かせます。将来フリーランスや企業を目指す人にとって、魅力的な業界といえるでしょう。
ライフスタイルに合わせた働き方ができる
SaaSはクラウドがベースとなっていることから業界としてもリモートワークとの相性が比較的よく、ワークライフバランスを重視する人にとって非常に魅力的です。例えば育児や介護との両立、地方移住を検討している人にとっておすすめの環境といえます。
SaaS企業もフレックスタイム制やリモートワーク制度を導入し、働きやすいだけでなく個人の生産性を高めた職場環境を提供しているところが多いです。このような柔軟な職場環境から、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
AI・SaaSセールス職に特化した転職エージェント。未経験からハイクラス層まで、手厚い伴走型支援で最適な選択をサポートします。高い専門性と一気通貫スキームにより、Googleクチコミ4.9と極めて高い評価を得ています。
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SaaS企業で働くデメリット

SaaS業界は非常に働きやすい環境ですが、デメリットもあります。SaaS業界への就職・転職を検討している人は、必ずチェックしておいてください。
競争が激しい
SaaSは成長市場であるため、競争が非常に激しい業界です。新規参入がしやすいこともあり、競合他社が多いため、差別化のためにサービスの質やスピードを求められます。例えば、エンジニアであれば最先端の技術の活用や生産性が求められ、営業職では明確なKPIが設定され、厳しく評価されます。このような状況の中で、さまざまな困難に柔軟に対応する適応力や、プレッシャーやストレスに耐えられる精神力が必要です。
技術の進化が早い
SaaS業界は、技術の進化が非常に早いという特徴があります。そのためSaaS業界で働き続けるためには、常に技術の進化に追い付き、スキルやサービスの習得を継続していく必要があります。
例えば、大手クラウドサービスのAWS(Amazon Web Service)では、200以上のサービスがあり、現在もその数が増加しています。加えてAI技術の急速な進化もあり、多くのSaaSでAI技術を取り入れたサービスが提供されています。エンジニアだけでなく営業担当の人も、次に注目されるトレンドをいち早く把握し、活用できるスキルが求められます。
また、多くのSaaSは海外から展開されることが多いほか、海外企業と連携してサービス展開にあたることもあるため、語学力やグローバルな視点を求められる場合があります。このためSaaS業界は向上心が高い人には向いていますが、安定を重視する人にとっては、この環境をストレスに感じる可能性があります。
不確定要素が多い
SaaS業界は変化が激しいため、不確定要素が多い点が挙げられます。例えば市場のニーズの変化や技術の進化の影響により、サービスの方向性が代わることも少なくありません。例えば近年、ChatGPTをはじめとした生成AIが登場すると市場が一変し、短期間で多くのSaaSで生成AI技術を取り入れたサービスが展開されました。このように技術の進化や経済の影響を受けやすい部分があります。
また、新規参入したばかりの企業は売上が安定するまで経営が不安定になりがちという面があります。新しいSaaSを展開しても、ユーザーが定着しないと十分な売上が得られません。ユーザーの定着も不確定な要素が伴うため、スタートアップ企業の経営は大手企業と比べると安定性に欠けるという課題があります。
SaaS業界に向いていない人の特徴
SaaS業界は成長性の高い魅力的なフィールドですが、すべての人に向いているわけではありません。入社後のミスマッチを防ぐためにも、自分の気質や価値観と照らし合わせて確認しておきましょう。
数値管理とKPIのプレッシャーに強いストレスを感じる人は、SaaS業界の文化に苦労する可能性があります。SaaS企業では、商談数・受注率・MRR・解約率・NPS(顧客満足度スコア)など、業務のあらゆる側面が数値化されて日次・週次で管理されます。数字に向き合い続けることにやりがいを感じられる人には向いていますが、定性的な成果や人間関係の積み上げに喜びを見出すタイプには、窮屈に感じられることもあります。
変化のスピードに強いストレスを感じる人も注意が必要です。SaaS業界はプロダクトの機能追加・組織体制の変更・戦略の転換が頻繁に起きます。「ルーティンワークを丁寧にこなすことが得意」「一度決めたやり方を深掘りしたい」というタイプには、絶え間ない変化への適応が精神的な負担となる場合があります。
チームワークや他部門との連携が苦手な人にとっても、SaaS業界特有の分業文化はハードルになりえます。前述のとおり、SaaS業界ではマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスが緊密に連携しながら動きます。「自分一人で完結させたい」「他部門への情報共有や引き継ぎが煩わしい」と感じるタイプには、組織全体のパフォーマンスを意識しながら動くこの文化が合わないことがあります。
もちろん、これらの特徴はあくまで傾向であり、企業規模や職種によっても大きく異なります。転職前に企業の口コミや実際に働く社員の声を調べることで、自分のスタイルに合う環境かどうかを事前に見極めることができます。
SaaS業界の職種

SaaS業界の将来性の高さから、SaaS企業で働きたいと考えている人もいるでしょう。ここでは各職種について解説します。
SaaS業界の分業文化—バトンをつなぐ組織構造
SaaS業界の職種を理解するうえで欠かせない前提知識が、「分業制」と呼ばれる組織構造です。従来の営業スタイルでは、ひとりの営業担当者が見込み客の発掘から商談・クロージング・契約後のフォローまでをすべて担う「一気通貫型」が一般的でした。しかしSaaS業界では、顧客獲得から継続支援までの一連のプロセスを複数の専門職が分担する「分業モデル」が主流となっています。
具体的な流れとしては、まずマーケティングが広告・コンテンツ・イベントなどを通じてリード(見込み客)を獲得します。次に、そのリードに対してインサイドセールスが電話やメールで初期アプローチを行い、商談化できる温度感の高い見込み客をフィールドセールスへ引き継ぎます。フィールドセールスが顧客と商談を進めてクロージングし、契約が成立した後はカスタマーサクセスが顧客の活用支援と継続契約の維持を担います。
この「マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス」というバトンリレーの仕組みが、SaaS業界特有の組織文化です。各職種が自分のフェーズに集中して専門性を高められる反面、部門間の連携とコミュニケーション能力が非常に重視されます。自分がどのポジションで貢献したいかをイメージしながら、以下の職種紹介をご覧ください。
フィールドセールス
フィールドセールスは、直接顧客企業を訪問し、対面でSaaS製品やサービスの提案・販売を行う職種です。営業スキルだけでなく、顧客にあわせてカスタマイズが必要な場合では、技術的なスキルが求められることも少なくありません。それらも含め、フィールドセールスには、以下のスキルが求められます。
- 販売するSaaS製品・サービスへの深い知識
- 経営層との商談で課題やニーズを理解するためのコミュニケーション能力
- 最適なソリューションを提案する提案力
また、契約獲得後も継続して顧客とコミュニケーションをとることが求められるため、信頼関係の構築が得意な人に向いています。
インサイドセールス
インサイドセールスもフィールドセールスと同じく営業職です。フィールドセールスは直接顧客企業を訪問してサービスの提案・販売を行うのに対し、インサイドセールスは電話やメール、Web会議を通じて非対面で顧客にアプローチを行います。直接訪問する必要がないことから移動時間やコストの削減につながるほか、遠方も含め多くの顧客に対してアプローチできるというメリットがあり、近年注目されています。
SaaS業界では、最初に問い合わせや資料請求から情報を得て商談に進むケースが多いため、インサイドセールスは窓口としての役割を担います。また、ある程度商談が進んだら、フィールドセールスに引き継ぎ、顧客から得られた情報をマーケティングに活かして営業全体の生産性向上につなげます。
マーケティング
マーケティングは、SaaS製品・サービスの認知拡大や見込み顧客の獲得、顧客との関係構築などを行う職種です。具体的な業務として以下の施策を実施します。
- Web広告やSNS発信
- ウェビナー、キャンペーンの開催
- ホワイトペーパーの作成
- コンテンツマーケティング
これらの施策を通して競合他社との差別化を図り、フィールドセールスと連携して顧客にサービスの魅力を伝えます。
また、インサイドセールスと連携して得たデータの分析や市場調査の結果に基づいた戦略立案、実行を行います。これらの施策の実施には、最新のマーケティングトレンドやツールに関する知識も必要です。
エンジニア
エンジニアは、主にSaaS製品・サービスの開発や運用、保守などを行います。フロントエンド、バックエンドにおけるソフトウェア開発スキルのほか、クラウド技術やセキュリティなどの専門的な知識が必要です。
SaaS製品・サービスは常に進化しているため、積極的に新しい技術を習得し、開発に活かすことが大切です。SaaS製品・サービスの品質や競争力を高める重要な職種であり、高い技術力が求められます。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、SaaS業界において近年急速に重要度が高まっている職種です。その役割を一言で表すなら、「顧客が契約したサービスを使いこなし、期待する成果を得られるよう伴走し続ける」ことです。
SaaSはサブスクリプション型のビジネスモデルであるため、顧客が解約してしまうと積み上げてきた収益が一気に失われます。逆に言えば、顧客が使い続け、さらに活用範囲を広げてくれることが事業の成長に直結します。そのため「売って終わり」ではなく「使って成果を出してもらうまでが仕事」というマインドセットを持つカスタマーサクセス担当者の存在は、SaaS企業の競争力の核心となっています。
具体的な業務内容は、契約直後のオンボーディング(導入支援)、定期的なミーティングでの活用状況確認、機能活用の提案、解約リスクのある顧客への早期介入、そしてアップセル・クロスセル(上位プランや追加機能の提案)などです。顧客の成功と事業収益の双方に責任を持つ、SaaS業界ならではのポジションといえます。
営業経験やコンサルティング経験を持つ人材が転職先として選ぶケースも多く、業界未経験からでも顧客折衝経験があれば挑戦しやすい職種のひとつです。また、カスタマーサクセスのキャリアパスとしては、チームリーダーやCSマネージャーへの昇進のほか、プロダクトマネージャーや事業企画へのキャリアチェンジなど、幅広い選択肢が広がっています。
プリセールス / セールスエンジニア
プリセールス(セールスエンジニアとも呼ばれます)は、営業担当者と連携しながら、技術的な観点からSaaSの提案・導入を支援する専門職です。顧客のIT部門や開発チームと直接対話し、「このSaaSは自社の既存システムと連携できるか」「セキュリティ要件を満たしているか」「導入にどれだけのコストと期間がかかるか」といった技術的な疑問に答えることが主な役割です。
具体的な業務としては、製品デモの実施、PoC(Proof of Concept:概念実証)の設計・サポート、RFP(提案依頼書)への技術回答、既存システムとの連携可否の調査などが含まれます。商談の成否を左右する技術的な信頼を構築するキーパーソンであり、「技術がわかる営業」として高く評価されます。
エンジニアとしての技術的素養を持ちながら、顧客との折衝やプレゼンテーションを得意とする人材に向いており、未経験からよりも、エンジニアや社内SEとしての経験を持つ方がキャリアチェンジとして目指すケースが多い職種です。年収水準は営業職の中でも高めに設定されることが多く、SaaS業界でキャリアを積む上での有望なポジションのひとつです。
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SaaS業界のキャリアパス

SaaS業界のキャリアパスは、大きく営業職とエンジニア職に分かれます。自身の適性にあうキャリアパスを選択しましょう。
営業職のキャリアパス
営業職は、フィールドセールスやインサイドセールスからキャリアをスタートさせ、経験を積んでリーダーやマネージャーへとステップアップします。また、営業データの分析や営業戦略の立案、事業開発を通してマーケティングなどの他職種に転校するという道もあります。最終的には、営業ディレクターや営業部長など、組織全体の営業戦略を主導する役職を目指します。
エンジニア職のキャリアパス
エンジニア職は、SaaSの開発を行う職種と、専門的な役割を担う職種と複数のキャリアパスがあります。SaaSの開発は主にフロントエンド、バックエンド、フルスタックエンジニアなどからはじまり、経験や技術力を得たあとプロダクトマネージャーやアーキテクトなどの職種にステップアップするのが一般的です。専門的な職種は、データサイエンティストやAIエンジニア、セキュリティエンジニアなどがあります。
最終的には、ITコンサルタントやCTO(最高技術責任者)など経営層と係わり、企業全体の技術をリードするエンジニアへと成長していきます。
職種別の年収相場・レンジ
SaaS業界への転職を検討する際、職種ごとの年収水準を把握しておくことは、企業選びやキャリア設計において重要です。以下に、2026年時点での主要職種における年収相場の目安を紹介します。なお、企業規模・経験年数・スキルセットによって大きく異なるため、あくまで参考値としてご活用ください。
| 職種 | 年収相場(目安) | 特記事項 | |
| インサイドセールス | 350〜700万円 | 経験1〜3年で500万円前後が中央値 | |
| フィールドセールス | 400〜900万円 | インセンティブ込みで800万円超も可能 | |
| カスタマーサクセス | 400〜800万円 | マネージャー職で600〜800万円台 | |
| マーケティング | 400〜800万円 | デジタルマーケ経験者は評価が高い | |
| プリセールス / SE | 500〜1,000万円 | 技術×営業の希少性から高単価になりやすい | |
| エンジニア(開発) | 500〜1,100万円 | スタックや経験により幅が大きい |
SaaS業界は成果主義・実力主義の文化が根付いており、基本給に加えてインセンティブや株式報酬(ストックオプション)が設定されているケースも多いです。特にフィールドセールスやプリセールスは、目標達成度によって年収が大きく変動します。また、外資系SaaS企業では国内企業と比べてベース給与が高水準に設定されることが多く、同じ職種でも勤務先によって年収に大きな差が生じる傾向があります。転職エージェントを活用することで、非公開求人を含めた実態に近い年収情報を得ることができます。
SaaS企業選びのポイント

SaaS企業で長く働くには、自分に適した企業を選ぶことが重要です。ここでは特に重要なポイントとして、企業文化、成長性、事業内容の観点から選び方を解説します。
企業文化が自分とあっているか
SaaS企業を選ぶ際、企業文化が自分と合っているか確認しましょう。企業文化が自分と合わない場合、仕事へのモチベーションが低下するだけでなく、ストレスを感じやすくなります。企業のWebサイトや口コミサイトなどの情報などで企業の文化や価値観を確認したり、面接の際に、企業の文化について質問することが、転職成功への鍵といえます。
企業の成長性はあるか
SaaS業界は、成長市場であるため、企業の成長性も見ておくことが大切です。見るべきポイントとしては、企業の業績や市場シェア、競合他社の状況などがあります。成長している企業は、新しい技術の導入機会や成長の機会が得られやすいです。また、企業の将来的なビジョンや戦略も確認しておくと、企業の成長性をより深く理解できます。
事業内容が自身のスキルと合致するか
SaaS企業を選ぶときは、事業内容が自身のスキルと合致するか確認しましょう。自身が持つ何らかのスキルや経験を活かせると、仕事へのやりがいを感じやすく、キャリアアップにもつながります。例えば、業務効率化ツールを提供する企業であれば、営業やマーケティング関連の経験が活かせるでしょう。自分の強みを最大限に活かせる企業を選ぶことで、成果を出しやすく、自己成長にもつながります。
SaaS業界は将来性あり、企業選びはポイントを押さえよう
SaaS業界は将来性があり、今後も成長が見込めます。転職難易度はそれほど高くないものの、経験者が増えると難易度が高まることが予想されます。特にフィールドセールス、インサイドセールスの需要が高いため、営業経験があると転職に有利といえます。
SaaSは市場の成長スピードや技術の進化が早く、常に先端技術やトレンドのキャッチアップが大変なところがありますが、とてもやりがいのある業界です。弊社ではSaaS業界に特化した求人紹介やノウハウ記事を公開しておりますので、興味がある方はぜひご確認ください。
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この記事の監修者
荒川 翔貴
学生時代に100名規模の営業団体を設立後、大手メーカーで新人賞、売上4,000%増を達成。その後人材業界に転身し、ベンチャー企業にて求職者・企業双方を支援。プレイヤーとして社内売上ギネスを塗り替えながら、3年で事業部長に昇進し組織マネジメントも経験する。
現在は株式会社9Eのキャリアアドバイザーチームリーダーとして、入社半年で再び社内ギネスを更新するなど、常に成果を追求し続けている。(▶︎詳しく見る)
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